CMS Fun Nagoyaウェブサイト

6月6日(土)に開催された、第2回 CMS Fun Nagoyaに参加しました。

名古屋では、a-blog cms、WordPress、Concrete5を中心に、活発なコミュニティがあります。交通の便も良いので、地方から他のCMSの技術者も集まります。
「ブランドの垣根を越えて、いろいろなCMSについて勉強してみよう」ということではじまったCMS Fun。前回がひじょうに好評だったことを受けての、第二回目です。

今回は、Craft、baserCMS、MODX、Drupalの紹介と、CMSごとに島に分かれてのアンカンファレンスでした。私はアンカンファレンスの総合世話人として少しだけお手伝いをしました。

Craft

Craftは、日本ではまだほとんど知られていませんが、かなり魅力的なCMSです。サイトとユーザーアカウントがひとつずつなら無償で利用できます。フル機能が使えるライセンスでも200ドル程度です。

詳しくは、バージョン2.4の機能紹介の動画を見てもらうのがいいですが、WordPressのカスタマイズ機能のような「コンテンツのライブプレビュー機能」と、a-blog cmsのユニット機能のような「セクションタイプごとのカスタムフィールド設計機能」を備えています。

管理画面のデザインがとてもクールで、特にカスタムフィールド設計の画面は、方眼紙に手書き風のUIが斬新です。洗練されたUIの管理画面は、実際に試してみたくなりますね。

baserCMS

baserCMSの魅力は、無駄な機能がないシンプルさやCakePHP連携などがよく挙げられますが、サポートの充実もポイントです。公式サイト内にはフリーのCMSとしてはかなり充実したドキュメントや、テーマやプラグインを配布・購入できる「マーケット」があり、CMSの利用経験が浅くても安心して利用できます。

baserCMSは、定期的に「テーマコンテスト」を開催しています。a-blog cmsもよくやっていますが、コンテストを開くのはユーザーを増やすうえで、とてもいい手段だと思います。CMSは手を動かして使ってみないと身に付かないからです。

私が以前コンテストに出したテーマは、baserCMS公式としてマーケットに登録されまして、今もたくさんの人が使ってくださっています。ありがとうございます(-人-)

次期バージョンでは、後述のMODXのように、サイト内のすべてのコンテンツをツリー方式で俯瞰できるUIになるそうです。baserCMSは管理画面のデザインがすばらしいので、どのようになるか気になるところです。

MODX

MODXは、フリーランスになったときに、インストールと管理画面の操作一式まで勉強したことがあります。
その後、過去互換で軽量な「Evolution(1.x系)」とハイエンドな「Revolution(2.x系)」に分かれました。どちらを推す方針かは国によって異なるらしく、日本コミュニティではEvolution推しとなっています。

MODXは、サイト全体をツリー形式で俯瞰でき、OSと同じ感覚で操作できるUIが特徴的です。高解像度のワイド画面が当たり前になった今、真価を発揮するように思います。

ただ、UIやデフォルトテーマのデザインがやや古く、見た目にこだわる案件に持ち込むにはハンデがありそうです。

MODXで特筆すべきは「デモサイト」です。
実際に操作できる管理画面を公開しているCMSは多数ありますが、MODXでは、自分だけのデモサイトを三日間、ワンクリックで設置することができます。

しかも、MODXが気に入れば、デモサイトで作成した内容をダウンロードして、自分の環境にそのまま引き継ぐことが可能なのです。オンラインゲームの無料お試しパッケージみたいです。

サーバーやインストールのことを気にせず、思い立ったら気軽に試せる・クライアントに見せられるデモサイトはとても助かります。

Drupal

Drupal日本グループ

Drupalは「コーポレートサイト向け」「ブログ向け」などのくくりがありません。コアがひじょうにシンプルで、強力なモジュールを追加することで、どんなサイトでも構築できるそうです。
日本での普及はずいぶん時間がかかりましたが、即戦力として検討したいCMSです。

特に覚えておきたいモジュールが「Views」と「Rules」です。
Viewsは、管理画面からコンテンツの絞り込み条件をひじょうに詳細に設定できるモジュールです。a-blog cmsのモジュールIDで、WordPressのWP_Queryの動作を実現する感じでしょうか。
Rulesはさらに強力で、「◯◯したときに」「△△を」「□□する」というアクションを定義できます。サイト内でなんらかの変化があったときに管理者にメールを送信させたり、特定のページにアクセスがあったらメッセージを出すなど、工夫次第でなんでもできそうです。

Drupalは学習コストがやたらと高いのが悩みどころです。団体での習得・導入はなかなか難しいので、フリーランスが殴り込めるCMSかもしれません。

変わってゆく、CMSとWeb業界

今回、アンカンファレンスでいちばん人を集めたのが、Drupalでした。
CMSのスキルが高い人たちばかり集まっている勉強会とはいえ、数年前なら考えられなかったことです。

それは裏を返せば、CMSが新着情報やブログ、ガワの更新だけに使われる時代はとっくに終わっていて、もっと根本のマネジメント・マーケティングの下支えとして求められるようになった、ということなのでしょう。

Craft以外のCMSは、触ったことはありますが、しばらく使っていませんでした。使っていない間にもCMSは確実に進化していて、魅力的な機能が増えていたり、当時不満を感じた部分が改善されたいたりもします。
そういった「再会」ができるという点でも、CMS Funはいいイベントだなと思います。

この記事を書いた人

うぇびん

愛知県豊橋市に住んでいる、荒ぶるウェブおばさん。WordPressをはじめとした各種CMSを研究するのが好き。札幌のIT企業のビットスター株式会社に所属しています。