このサイトでも利用している、a-blog cmsの、バージョン2.5系がリリースされました。

2009年にバージョン1.0がリリースされた頃のa-blog cmsは、カスタマイズのしやすさから「Web制作者のためのCMS」と呼ばれていました。
ですが、今のa-blog cmsは「Webマーケティングに強いCMS」です。
そのくらい大きく進化しています。
最新のa-blog cmsの、Webマーケティングに適していると言えるポイントをまとめます。

閲覧者属性に応じた表示切り替え

プルダウンでルール間を移動できるようになったのが地味に嬉しい

a-blog cmsには、特定の条件に合致したアクセスがあったときに、管理画面の設定(コンフィグ)を切り替える、「ルール」という機能があります。
このルールの条件に、バージョン2.5.0から「任意のCookieの値」を追加できるようになりました。

これまでは主にスマホ・ガラケーなどの端末判定に利用されてきたのですが、この機能の追加で、まったく違う使い方ができるようになりました。

具体的には上の図の通りで、訪問者の属性や辿ってきたページによって、サイト内のコンテンツの表示を切り替えられるようになったのです。

これはWebマーケティングの手法のひとつで、他のCMSでもできないことはありません。ですが、a-blog cmsの場合は「公式の機能」として提供されているため、Cookieの読み書きからキャッシュの管理まで、ほとんど手数をかけずに実装することができます。

ドラッグ・ドロップでのレイアウト変更

任意のテンプレートのレイアウトを、ドラッグ・ドロップで変更できる機能を追加できるようになりました。デモ動画が公開されています。

Concrete5やJimdoに似た操作感で、同じ表示条件で違うマークアップのパーツを複数作れるなど、自由度も高くなっています。
a-blog cmsのCSSフレームワークや、bootstrap3と組み合わせると、下手なWeb制作者が路頭に迷うレベルです。

「この機能を使えば、お客様にサイト修正をしてもらえるかも…!」
と考える人がいるかもしれませんが、そういう使い方は薦めません。Web制作・Webマーケティングの知識が薄い人に、根幹の権限を与えるとたいへんなことになります。

では、どう使うのかというと、いわゆる「アジャイル」に適していると思います。
すっぴんのa-blog cmsに主要コンテンツだけ流し込んでしまい、レイアウトモジュールでページの構成をクライアントと相談しながら決めていく、コンテンツファースト+マーケティング重視の制作です。

構成が決まったあとはレイアウト機能を停止して、このテーマを作り込むか(a-blog cmsの公式テーマはかなり実用に耐えます)、いちから作るということになります。

愛知に来て驚いたのが、CMSを問わず、アジャイルを採用しているディレクターが多いことです。
予算に余裕がある案件が多いのでしょうが、クライアントとの信頼関係や話し合いを重要視する、名古屋式ビジネスに向いた進め方なのかもしれません。

強力なエクスポート・インポート

a-blog cmsには、バージョン1.0系の頃から「ブログ単位のエクスポート・インポート」機能がありました。エントリーや関連付けられた画像だけでなく、そのブログのコンフィグ一式をyaml形式で管理できます。

すべてのデータを復元するだけでなく、「ブログも新規に作る」「エントリーとカテゴリーだけ」「コンフィグだけ」「現在のブログの設定とマージ」などのオプションがあり、ひじょうに便利です。

バージョン2.5系になり、コンフィグで設定する内容が増えたことで、このインポート機能がこれまで以上に活躍する可能性が出てきました。過去の案件で効果が高かった・よくできたサイトのデータをごっそり書き出し、再利用することで、効率化が期待できそうです。

まとめ:「制作者にやさしいCMS」時代の終焉

というわけで、a-blog cms2.5系はすばらしいです。

ここで紹介したもの以外にも、カスタムユニットや多言語対応、内部のCSSフレームワークなどもおすすめですが、きりがないので割愛します。

ひとつ前の記事で「CMS Fun Nagoyaのアンカンファレンスでいちばん人を集めたのは、難易度が高いDrupalだった」と書きました。

2000年代のCMSは、あくまで制作と配信をサポートするツールでした。ですが、2010年代のCMSに求められる要件は、単なる制作の簡便さだけでなく、構築・納品した後の段階にまで及んでいます。
サイトの目的の充足よりも、予算・学習コストの低さを優先することは、「甘え」と言われても仕方がないところまで来ている、と感じています。

…と、怖いことを書きましたが、a-blog cmsは2.0系以降のドキュメントが充実しており、機能の割に、予算も学習コストも格段に低いです。

なにより、管理画面が全部日本語です(笑)
しばらくご無沙汰だった方も、ぜひ、手を動かしてみてください。

この記事を書いた人

うぇびん

愛知県豊橋市に住んでいる、荒ぶるウェブおばさん。WordPressをはじめとした各種CMSを研究するのが好き。札幌のIT企業のビットスター株式会社に所属しています。