「baserCMSデザインテーマコンテスト2015」で、私の応募作品「ratio_3_2」がグランプリをいただき、baserCMSの本拠地・福岡市での授賞式にご招待いただきました。
おみやげの「博多とおりもん」をもぐもぐしながら、この報告記事を書いているところです。
福岡のbaserCMSユーザーのみなさん、ほんとうにありがとうございます。
本テーマは、baserマーケットから無償でダウンロードできるようになりますが、そちらと並行して、Sass・Gulpを含む完全リポジトリもGitHubで公開いたします。開発者の方のお役に立てば幸いです。
https://github.com/webbingstudio/baser_theme_ratio_3_2
テーマの特徴
テーマ名は「レシオ スリーツー」と読みます。「ratio=比率」という意味です。
bootstrap3ベースで、主に以下の特徴を持っています。
- サイト内のすべての画像が、調達しやすい3:2でバランスが良くなるよう設計しています。
- メインカラー・サブカラー・リンクカラーの三色を管理画面で設定することができます。
- 通常はスライドショーで表示する前提となっている「メイン画像」を、多彩なフォーマットで表示することができます。
- 複数のインポートデータを持っています。特徴と導入手順が書かれた「default」と、すべてのデータを削除した実務向けの「blank」です。
- PDFの導入手順がテーマ内に含まれています。
考えていたこと
今回は、「店舗系テーマ賞」をいただいた「logical_jp_baser」以来、3年ぶりの応募でした。
この3年の間に「CMS構築専門のWebエンジニア」を屋号に掲げるようになりました。偉そうに取られるかもしれませんが、「baserCMSユーザー会からご依頼いただいた、30万円相当の案件」と考えて、本気で取り組ませていただきました。
応募にあたって、以下の目的を達成できるテーマにしようと考えました。
- チュートリアルを提供し、アマチュアユーザーの挫折を防ぐ
- 白ベース、もしくはキュート系のテーマが多いので、ファーストビューをカラフル、かつモダンにする
- プロの製作者同士の協業に耐えられるフレームワークにする
- 自分のような、バージョン3になってからご無沙汰になっている製作者を呼び戻す
多彩なパワーユーザー
baserCMSのテーマコンテストは、総合賞の「グランプリ」とは別に、パッケージに同梱される「標準テーマ賞」を設けています。
「CMSのテーマとして良い」と「baserCMSを代表するテーマにふさわしい」が別に評価されるのはとても良いことだと思います。
「標準テーマ賞」は、実際にbaserCMSで実務製作もしている、地元のパワーユーザーによるものです。余白・タイポグラフィなどひじょうに完成度が高く「準グランプリ」や部門賞も同時受賞しています。公開されるのが楽しみです。
以前、「a-blog cmsのユーザーはCMS構築以外の得意分野が多彩だ」とどこかで書いたのですが、baserCMSはCMSの構築そのものの得意分野が多彩だと感じました。
baserCMSの特徴のひとつに、論理的かつ安全にテーマに拡張を含められ、ブラックボックスにならない点があります。CakePHPベースならではです。
この関係で、デザイナーだけでなく、エンジニアのパワーユーザーもいて、「デザインはごくシンプルだが、baserCMSの内部機能を拡張することに全力を注いだテーマ」という作品も入賞しています。そのテーマを有効にすると、管理画面がまったく別物に変わります。
私は今回、実験的に「複数のインポートデータ」を用意しました。ひとつのテーマに複数のデータを持たせられるというのは他のCMSにはあまりなく、コピーライティングに長けているユーザーも呼び込むことができるのでは…と思っています。
テーマやプラグインまわりの思想はDrupalに通じるものがあり、WordPressとの明らかな差別化となっているのですが、長くなるので後日書くことにします。
これからのこと
授賞式の講評で「全体に、やさしいテーマだと感じました。コードも読みやすかった」と言っていただきました。
ウェビングスタジオはふだん、裏方・助っ人として活動しています。案件はほぼすべてNDA、成果物は納品後のサポートができないことも多いです。NDAについては、口コミやテーマ配布で別途営業しているので割り切っています。
納品後のサポートが難しいので、できるだけあとで手戻りにならないよう努めています。コードの書き方、クラスの命名規則、コメントの整備に至るまで気を遣います。ratio_3_2は時間の関係でSassが雑なので書き直したいです。
そのあたりを「やさしい」と評していただけたのが、なによりうれしかったです。
受賞はひとつの区切りになりましたが、これで終わりなわけもなく、やりたいことは山積しています。コンテンツの一部変更を考えている「CM3S」や、やるやる詐欺になっているプロ用テーマ「echo」のタスクもあります。
「ratio_3_2」では、前作「logocal_jp」ではあまりできなかった公開後の拡張なども、積極的に手掛けていきたいと思います。末長く宜しくお願いします。