Facebookで知り合った、マーケティング関係の方が東京から来札されたので、お会いしてきました。
私の仕事では関わることができない企画のことや、海外のお話をいろいろ聞かせていただきました。
その方に
「私の周りにもWebデザイナーを目指している人がいますが、仕事を見つけるのはなかなか大変そうです。どうするのがいいでしょうか」
と尋ねられました。
私がWebデザイナーになろうと決めてから、気付けば8年が経とうとしています。
そのときお返事したことに諸々付け足して、今からWebデザイナーを目指す後進の人たちのために記事に残しておきます。
目標
これは私もずいぶん経ってから気が付いたことですが、
「『Webデザイナー』になる」
という目標を立てること自体が、実は間違っています。
本格的なWeb制作をはじめた時点で、あなたはもうWebデザイナーになっています。
この仕事に資格はないからです。
また、この業界は制作会社で働くこと=Webデザイナーではありません。私は制作会社での勤務経験はありますが、試用期間と被正規雇用のみで、半分以上は自営業です。
なので、何かの肩書きを得るのではなく、自信を持てるスキルを身につけることを目標としてください。
Web制作の学校へ行く目的
デジタルハリウッドなどの、Web制作を学ぶ学校があります。
余裕があるなら、学校には通っておいた方が良いと思います。
実際のところ、制作の基礎は入学前にぐぐって身に付けているくらいでなければ、卒業後も戦力にはなりません。学校の求人もそれほどあてになりません。
学校に行く目的は、
- Adobe製品を使い方を覚え、安く入手するため
- MacOSの使い方、Windowsとの環境の違いを学ぶため
- 実際にWeb業界で働いている講師の話を聞くため
- 自分が作りたいものでなく、与えられたテーマに添って作ることを学ぶため
- 色彩学など、学問としてのデザインを学ぶため
です。
特に3は、自分から休憩時間や飲み会で質問しないと聞けません。
私の周辺には、ハローワークの基金講座をきっかけに勉強を続けてプロになった人がいます。
良い講師に恵まれて、本人に意欲があれば、学ぶ場所は関係ないのかもしれません。
就活
Web制作のいい仕事はなかなか見付かりません。
私は学校を出てすぐ雇用されたものの、そこが新規事業だったのと、私自身のスキルのなさで三ヶ月で解雇されています。
その後、次の仕事が見付かったのは半年後でした。
半年の間、日雇いのバイトをしながらこんなことをしていました。
- ひたすら勉強したことをブログに書く
- ブログテーマや素材を作って配る
- プロアマ問わず、良い技術者と交流する
作ったものは印刷して、ポートフォリオとして面接に持って行きました。
2は、作ること配ることより大事なことがあります。
配布するためのサイトを整備すること です。
- 説明書きをどうするか?
- サムネイルはどう見せるか?
- ダウンロードリンクはどう配置するか?
…などなど。
私は現在、CMSのテーマ制作に特化していますが、メインサイトや素材配布サイトをCMSで運営していた経験は、今の下地になっています。
SNSを利用する
私がWebデザイナーになったばかりの頃は、ネットでの配信手段はブログのみでしたが、今はソーシャルネットワークサービスが発達しています。
特にTwitter・Facebookは上手に使えばかなりの効果がありますし、就職してからも仕事で必要とされることも多いので、絶対にやっておくべきです。
理想はWeb制作のメモをTwitterでつぶやきつつ、画像が付いていた方が訴求力のある話題はFacebookで…という流れですが、時間が取れない場合はTwitter優先で良いと思います。
最近Twitterで私のアカウントをfollowしてくる人には、名前の後ろに「@Webデザイナー志望」などと書いている人を見かけますが、個人的にはあまり良い印象を受けません。
Web制作に関するつぶやきをしていれば、プロフィールに書いておくだけで充分な気もします。
名刺
名刺は、プロを目指すならちゃんと持った方がいいです。勉強会で配るのに必要です。
一時電子名刺が流行ったことがありましたが、デザイナーにとって、紙の名刺には重要な役割があります。
デザインや文字組みで、その人のスキルレベルがわかってしまいます!
例え家のプリンターを使っても、名刺用紙はできるだけ厚手の良いものを使いましょう。
デザインは自分の作風を出すところですが、サイズだけは一般的な90mm×55mmにしてください。名刺入れに入らなかったり、すっぽ抜けるのは困ります。
手渡しただけでは、やっぱり忘れられてしまいます…
ひと通り自分や相手、Web制作の話ができるようがんばりましょう。面接での通りいっぺんの自己紹介とは違って、働いたときに役に立ちます。
働きはじめてから
職場では、いろいろ学ぶべきことがあります。
- OSやアプリケーションの効率のいい操作
- 電話・メールで更新の依頼を受けたときの対応
- Web制作者ではない社長・営業とのディスカッション
- WordやExcelの資料作り
先輩デザイナーからは、コーディングの技術だけでなく、ディレクションの基礎とか、Web屋としての考え方を教わることになると思います。
仕事が忙しくなると、自主制作の時間がだんだん取れなくなります…
悲しいですが、話題のブログ記事をEvernoteやTumblrにクリップしたり、重要そうな勉強会だけでもまめに出ましょう。
Webデザイナーが最も避けなければならないのは、スキルが変化しないことです。
何かに特化する
最近は「Webデザイナー」はRPGなどでいう「下級職」になりつつあります。
仕事や自主制作を通して、自分の得意分野をガンガン特化してください。
経験を積んだ同業の人は、だいたいこのような得意分野を複数持っています。
- グラフィックデザイン(DTP含む)
- ディレクション
- ECコマースの企画と制作
- CMSカスタマイズ
- プログラミング
- フロントエンドエンジニア(JS等のギミックやUIを製作する人)
- モバイルサイトの制作
- Flash・動画制作
- 講師・技術書の執筆
選択肢がけっこう多いのが楽しいところです(笑)
まとめ
昔(ほんの数年前のことですが…w)のことを思い出しながら、いろいろまとめてみました。
現実を見ると、Webデザイナーはなかなか報われない仕事です。
作ったウェブサイトは、三年ももたずに閉鎖かリニューアルになります。
覚えた技術はあっという間に仕様変更になるか、使われなくなります。
プログラマ・SIerと比べると報酬は低めです。
それでも「新しいことを知ること」「ゼロからサイトを作り出すこと」「クライアントや閲覧者の感動が直接伝わること」から得られる楽しさは、何度経験してもあせることはありません。
その楽しさを知りたい人に、私の経験が少しでも役に立てば幸いです。