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熊の木彫職人の収益

姉に誘われて、登別温泉へ行ってきました。

温泉街のお土産屋で、「シャケをくわえた木彫の熊」の置き物を見ながら
「昔は北海道のどの家にもあったのに、最近見なくなったよね」
と姉と話していたら、お店のおばさんが、いろいろと勉強になる話をしてくれました。

アイヌの民に火の神様とされていた熊ですが、やっぱり最近は売れないのだそうです。
昔は神聖でさわることもできなかったフクロウの置き物が出てくるようになったのも、「熊と比べると見た目のアレンジを利かせやすい」という事情があるようです。

「これなんか素晴しい作品なんだけどねえ」
とおばさんが指差した、名のある職人の熊は、とても丁寧な彫刻がほどこしてあったりするのですが、その価値に見合うとは思えない微妙な値が付いていました。

「名人は80歳を越えている人も多いから、もうあまり観られなくなるかもしれないよ」
とおばさんは言いました。

「で、中堅の職人さんたちはどうしてるかというとね」
とおばさんが指し示したのは、丸太の形を生かしたチェストやテーブルや椅子でした。
道東の牧場カフェや「ジブリの森美術館にありそうな感じ(by姉)」です。

kuma

「これがね、売れるのよー。ゴールデンウィークのときはここにもっと大きな家具もあったのだけど、もう売れてしまったの」とおばさん。

値札を見ると、結構な値段が付いています。
若手の職人さんたちは、熊の置き物やニポポなどの伝統工芸の傍ら、そういう実用家具を作って収益を得ているようなのです。

悲しいことに、商業デザインの技術の向上というのは、妥協のはじまりなのかもしれません。

「ウケる」と「売れる」の間:ウェビンブログ

ベクトルや芸術性は全然違うとはいえ、職人系の仕事をしている私。
前回の記事で書いていたのと同じような状況だったので、なんだかいろいろ考えさせられてしまいました。

姉は面白い話を聞いたからと、とても小さなかわいい熊(これは技術提供を受けた海外の職人の作らしいですが)を買っていきました。

私の方が参考になっていたし、こうしてエントリーを書いているのだから、
何か買っていけば良かったなあ、とちょっと気になってます。
まあでも、ああして何か買ってもらうのがおばさんの商売だからなあ。

もし皆さんの家に木彫りの熊がいたら、ときどきブラシで背中のホコリを払ってあげてくださいね。