昨日(2017年10月6日)、Movable Typeの公式イベント、「MTDDC 2017」に参加してきました。

http://mtddc2017.peatix.com/

同日に、Movable Typeの次期バージョン、MT7の開発中バージョンが公開となりました。

こちらからダウンロードできます。

https://movabletype.jp/beta/

まずは触ってみるのが一番ですが、次期バージョンのPerlの必要バージョンは5.18、PHPは7と、少し高めです。長年契約しているサーバーなどはPerlのバージョンが足りないことがあるので、事前に確認してください。

すみません(1): 最低バージョンがPerl 5.10.1、推薦バージョンがPerl 5.18.x・PHP7.0となります。開発中に変更される可能性もあるので、詳しくは下記ページを参照ください。

https://www.movabletype.jp/release-notes/70dp.html

MTDDCでの発表、セッションを聞いての、バージョン3からのユーザーとしての雑感をまとめます。

Movable Type 7はどうなるのか

4年前の2013年にリリースされたバージョン6は、Data APIなどの外部システムとの連携が強化されましたが、機能や管理画面のレイアウトはほとんど変更されず、現状維持となりました。

バージョン7は、管理画面だけでなく、システムの根幹からの全面刷新となります。

大きなところでは2点です。

Drupalと同じ「コンテンツタイプ」を前提とした構造

WordPress・Drupalを使ったことがない人に説明するのが難しいのですが、エントリー・ページ・アセット(ファイル)などのコンテンツ構造が更に細かくなり、「著者」「書籍」など、制作者側がコンテンツのタイプをサイトに併せて定義、管理できるようになります。

https://twitter.com/2nose/status/916190034994352128

撮ってきたスライド写真が全部ピンボケでした…他の人のつぶやきから拝借します;;

WordPressの場合、コアシステムだけでは、単純にコンテンツを作れるだけですが、以下のようなことも可能となる様子です。どちらかというとDrupalや、最近ディベロッパーの間で話題のCraftに近いです。

  • コンテンツ同士の関連付け(書籍のページから指定した著者を呼び出すなど)

  • コンテンツごとの権限管理(著者のプロフィールしか編集できないユーザーを作るなど)

BootStrap 4ベースのクリーンな管理画面

https://twitter.com/h2ham/status/916181243523461120

管理画面のすべてのデザインについて、CSS Niteの出演者としてもおなじみの長谷川恭久さんが開発に参加しており、Bootstrap 4をベースとした大幅なテコ入れを行っています。

現在のMTの管理画面はとにかく迷いやすいのが悩みです。なにしろ、ログイン直後に移動するダッシュボードのファーストビューに、「記事を投稿する」ボタンがないのです。

他にも、権限が低いユーザーがシステム管理メニューに迷い込んで迷子になるという事故も起きやすいです。このような動線の解消が大きな目的になっているようです。

発表時点のUIは白・青・黒のクリーンデザインですが、長谷川さんは「白すぎる」と感じているそうで、今後、もう少し視覚的に判断できるナビゲーションが増えるのではと思います。

私たちはどうすれば良いのか

このように、次期のMovable Typeは根本から変わっていきます。

MT6のライフサイクル(セキュリティアップデートなどの保証期限)は、来年4月に予定されているMT7のリリース後、二年間です。つまりあと二年半の間に、私たちは方針を考える必要があるということです。

既にWordPress・Drupalなどを扱ったことがある人、Data APIなどのフロントエンド主体の機能まで利用している人は、Movable Type 7をより活用できるだろうと思います。「ブログ」が前提だった故にこれまで使いにくかった部分も、改善されそうです。

一方で、Movable Typeを「たくさんのブログを一括管理するシステム」もしくは「HTMLベースの小規模サイトを生成するシステム」として利用していた人は、今後の学習コスト、運営コストが増えます。

パッケージ版には、今後もページネーションが実装されません。最近はウェブサイトで必須の導線ではなく、Data APIや外部プラグインで解決できる機能だから、という判断と思われます。

まずはベータ版を触ってみて、コンテンツタイプの概念を身につけられそうか、早めに確認してください。

無理そうなら、できるだけ早くMovableType.net(または、別のCMS…)への移行を検討したほうが良いでしょう。実際、.netはバージョン4以前のMTを利用していた人が再利用しやすいように作られているサービスです。再構築も不要になるので扱いやすいと思います。

ブログからの脱却

リードエンジニアの高山さんは「ブログからの脱却」を強調していました。

新しいキャッチコピーは「ブログ」の文字はなく「ContentEverywhere」と書かれています。

すみません(2): 「ContentEverywhere」はMT6のData API実装時に追加されたキャッチコピーです…穴があったら入りたい…ただ、4年前はまだ「I Love Blog」も強調されていました。

シックスアパートは、親会社から社員が株式を買い取って独立しました。

これはけっこう大きな事件で、シックスアパート社自体が、親会社の意向から離れ、日本の古参パワーユーザーが運営する企業となったということです。

独立以来、Movable Typeの開発チームに声が届きやすくなったと感じます。その分、今回のバージョンアップからは、一般的なブログシステムに迎合せず、MTの強みを活かしていきたいという強い意志を感じます。

私はa-blog cmsのエバンジェリストですが、Movable Typeに思い入れがあります。15年前、CTOの平田さんの著書を読んだことから今の仕事に至っています。そんなこんなでMT7には大いに期待しています。

ですが、CMSの方針、付き合い方は、ユーザーや制作会社個々が決めるものです。仕事で使うものですから好きでなければいけないというわけでもありません。

あと半年、長いようで短いです。それぞれがじっくり考えていこうではありませんか。

これからMT7のハンズオンです。まずは触ってみます。

この記事を書いた人

うぇびん

愛知県豊橋市に住んでいる、荒ぶるウェブおばさん。WordPressをはじめとした各種CMSを研究するのが好き。札幌のIT企業のビットスター株式会社に所属しています。