北海道の住宅業界専門誌、北海道住宅新聞社様のご依頼で、北海道各地域の優れたハウスメーカー・工務店を紹介するサイト「いえズーム」の制作をいたしました。

https://iezoom.jp/

ベースシステムにはa-blog cmsを採用し、北海道出身のフリーデザイナー、川原田このみさんにデザインをお願いしています。

このサイトは、企画から4月の正式公開まで、住宅新聞社のスタッフさんとご相談しながら、一年近くかかりました。主にa-blog cmsに関して、公開できる範囲でこのサイトの特徴をご紹介していきたいと思います。

いえズームを立ち上げた経緯

北海道住宅新聞社は、業界専門誌の発行とは別に、一般向けにウェブマガジンの展開も行っています。

一記事数千文字におよぶ取材記事、検証記事を得意としており、札幌市近郊の住宅会社に特化したサイト「札幌良い住宅.jp」は、道内での地域検索においては、大手と互角の露出度を誇ります。

札幌で家を建てようと思った人なら、一度は訪れたことがあるサイトです。

この評価を下敷きに、北海道全域の住宅会社をカバーするサイトを立ち上げたのが、「いえズーム」です。札幌良い住宅では実現できていない、「記事同士の関連性」「地域性」を充実させたいというご相談をいただきました。

a-blog cmsで実装する詳細な地域分類

住宅会社は、それぞれ拠点とする「地域」があります。当初は

「石狩のホクシン建設さんなら札幌圏、旭川の大丸ホームさんなら旭川圏…カテゴリーかな?」

と捉えていたのですが、打ち合わせを重ねるうちに、そんなに単純なものではないことが明らかになりました。

住宅会社には、本社が帯広だけれど、札幌での家づくりの依頼も承っていますよ、という、複数地域で活動している企業が少なからずあるからです。

結局、a-blog cmsの「カスタムフィールド検索」「ポストインクルード」「フィールド値のグローバル変数化」を駆使しての関連付けとなりました。

上の写真は、住宅会社の「地域の設定」の入力欄です。

企業の拠点を一箇所、地域一覧で表示したい地域を任意で選んでもらっています。

このスクリーンショットでは全域にチェックが入っていますが、こうなることはまずありません。

Movable Typeだったら、プライマリカテゴリーとセカンダリカテゴリーを使う手もありましたが、後述の地域ごとの関連付けでAPIが必須になっていたと思います。

カスタムフィールドでの分類をしていると、それをキーにして、各コンテンツ(=子ブログ)同士の関連付けが可能になります。

いえズームでは、記事のページではその記事で紹介されている住宅会社、その住宅会社に関して書かれた他の記事、同じ地域の記事がリンクされ、サイト回遊率をアップさせています。

管理画面UIの考慮

a-blog cmsの魅力のひとつに、強力なCSSフレームワークにより、HTMLとCSSの知識があれば、管理画面のUIに直接手を加えられる点があります。

このサイトの「地域一覧ページ」の冒頭には地図や地域情報が記載されていますが、今後も地域の分類がこのルールのままとは限りません。小樽圏や、釧路圏が追加される可能性があるのです。SEOにおいても重要な情報となるので、逐一変更の機会があります。

このため、地域一覧ページの編集も、住宅新聞社さんでできるよう、あとで見てもわかりやすいUIを心がけています。

これは住宅会社の情報入力欄の一部です。「建築総額の傾向」フィールドのようなレイアウトは、他のCMSでは難しくなります。

「建築総額の傾向」は札幌良い住宅では画像だったのですが、いえズームではJavaScriptで範囲グラフを自動表示しています。地味に喜ばれましたw

「近く」の感覚の違い

住宅会社の詳細ページでは「こんな会社も近くにあります!」という関連付けがあります。

距離的に近い住宅会社を表示することで、近くには他にどのような会社があるのかがわかりやすくなっています。

この「近く」とする範囲は、地域によって変えています。

北海道の距離感のズレというのはよくネタにされます。例えば札幌圏は会社が密集しているので、上限は20kmですが、地方だと車で隣町まで移動するのが当たり前ですし、20km程度ではほとんど会社が表示されませんから、50kmまで伸ばしています。

今後の展開と課題

現状のご紹介は以上ですが、今後も新しいコンテンツの追加や改修が続きそうです。

先述した地域設定については「地域ごとにメイン地域だったら一覧の上の方に表示して、サブ地域だったら一覧の下の方に表示できないか」という相談もいただいています。確かにその通りで、これについても次フェーズの改修計画を練っているところです。

テーマ構造が整理されているので、新しいコンテンツを追加する=サイトを育てるということがしやすいのも、a-blog cmsの良いところです。今後も住宅新聞社さんと摺り合わせをしながら進めていくことになりそうです。

個人的には良いことづくめのa-blog cmsですが、画像ユニットが多い記事を書くとサーバーが落ちやすくなるのが目下の悩みです。

記事を保存したときに、ユニットの情報をすべてPOSTしようとしているからでしょうか。単純にサーバースペックを上げるか、ダイレクト編集で書いていくしかなさそうです(タグ付けのときなどは編集画面に入らなければなりませんが…)。

これはa-blog cmsに限らず、Movable TypeやWordPressなど、ブロックエディタを導入するCMSの新しい課題となっていくのかもしれません。

北海道・東北で家を建てようと思っている人は、ぜひ「いえズーム」を訪問してみてくださいね。寒冷地ならではの、本当に役に立つ情報ばかりです。

https://iezoom.jp/

この記事を書いた人

うぇびん

愛知県豊橋市に住んでいる、荒ぶるウェブおばさん。WordPressをはじめとした各種CMSを研究するのが好き。札幌のIT企業のビットスター株式会社に所属しています。