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アバター型タイマーアプリ「gogh(ゴッホ)」が自分には合わなかった理由

連休前、勤め先のブログで「gogh(ゴッホ)」というタイマーアプリを勧める記事を読みました。

gogh(ゴッホ)というアプリについて|スタッフブログ – ビットスター株式会社

goghは自分の分身と作業部屋を作り、部屋を飾り付けたりおしゃれなコワーキングスペースへ行ったりしつつ、タイマーを回して作業に集中する、いわゆるゲーミフィケーションツールです。キャラクターがとてもかわいいです。BGMも豊富ですし、雨の音やホワイトノイズなどの環境音もあります。

この頃、生活改善の努力をしていなかったので、三連休の一日目に試してみました。ですが私にはまったく合わず、集中力が低下する結果になったので、理由を分析する記事を書きます。

もちろんですが「この記事で挙げる私のようなタイプの人間には合わない」という話です。この手のツールは、友人や同僚に勧められることが多いかと察します。検討する際に、合わなかったというこの記事も参考になれば幸いです。

理由1: 環境を変えることができない

まず最初に自宅=作業部屋を作ります。できたのが1枚目の画像の部屋です。しかしこれは、まったく私の現在のデスク周りと同じです。
どのくらい似ているかは2枚目の画像を見てみてください。壁の色、コーヒーとお菓子の配置まで同じです。

私はたとえバーチャルであっても、自分が落ち着く環境を変えたくないということを、はっきり自覚しました。このアプリのターゲットにまったく合わないユーザーです。

「あつまれどうぶつの森」が楽しかったので、同じように部屋づくりを楽しめるかと思ったのですが違いました。あつ森は家具を集める過程が楽しいゲームですし、部屋に長時間滞在しません。

流石に殺風景すぎたので、後ろを振り返ったらすぐゲームができたらいいだろうか、と対面の壁にゲーム機を置き、エルデンリングのスクショを貼りました。しかし実際にこの環境になったら狭苦しいし、すぐゲームに逃げてしまいそうです。

「実際にこの環境になったら」と考えてしまう私のようなタイプの人間とは相性が悪いようです。

余談ですが、私の実際の環境では同じモニターとキーボードのままで、仕事用のMacBookと個人用のゲーミングPCを切り替えることができます。しかし後ろにすぐ遊べる状態でスタンバっているのと、切り替えないと遊べないのとでは、誘惑レベルがまったく違います。私の中では。

理由2: 思考を支配されたくない

このアプリは、自分の部屋に宇宙人(いわゆるコンパニオン)がやってきて、部屋づくりや集中力の改善を励ましつつ手伝ってくれます。アプリにはポモドーロ・テクニックのタイマーも付いています。

私はポモドーロ・テクニックが苦手で、これを機にもう一度試してみましたが、やはり集中力が大きく削がれてしまいました。何らかのコマンドを入れるたびに宇宙人に励まされたり、数時間操作していないと「しばらく静かだったな」と言われるのもだめでした。

もやもやの理由を考えてみた結果、「不如意に自分の思考を支配される状態」が大きく集中力を削がれるのではと思いました。なお私はごく軽い発達障害の特徴があり、成人後に改善した経歴があります。せっかくなので最近有料版にしたChatGPTに聞いてみたところ、同意できる回答が得られました。私と同じような人は世界にたくさんいるようで、ちょっと安心しました。

「ポモドーロ・テクニック」は、私にはどうしても合いません。かえって集中力が乱れてしまいます。合わないと感じている人の意見にはどのようなものがあるでしょうか。

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ポモドーロが合わない人の主な声をまとめました。似ている点や自分に当てはまる理由を探す参考にしてください。

・タイマーがストレス:カウントダウンの圧迫感やアラーム音で逆に焦る・中断感が強い
・思考が途切れる:長めの集中が必要な設計・創作系では25分で切ると「乗ってきた流れ」が分断される
・再着手コストが高い:中断後に文脈を思い出すのが大変なタスク(複雑なコード・文章)だと効率が下がる
・切り上げにくい仕事と相性悪:会議、他人対応、バグ調査など終わりが見えない作業は区切りを作りづらい
・休憩が逆効果:短い休憩でスマホや別件に気を取られ、そのまま戻りづらくなる
・ウォームアップ時間が必要:集中までに時間がかかるタイプは、25分では「やっと入った頃に終わる」感がある
・タスク粒度が合わない:細かく分割できないタスクだと「1ポモドーロ」の意味が曖昧になり、計画が崩れる
・自律感の欠如:外部のタイマーに管理される感じが苦手で、内発的なリズムを乱される
・予測精度が低いとフラストレーション:1ポモで終わると思ったのに終わらない→罪悪感や自己評価低下に繋がる

代替としてよく挙がる工夫
・50-10や90-15など「長め集中+休憩」で流れを切りにくくする
・休憩はタイマーでなく「自然な段落(章末・テスト通過・PR作成)で取る」
・タイマーは「終了」より「開始」だけ使い、終わりは流れを見て自分で決める
・「午前は深い作業、午後は浅い作業」と時間帯でタスクを分ける
・休憩の質を変える(散歩・ストレッチ中心で通知やSNSは避ける)
・自分のリズムに合わせ、区切り方と休憩の質を微調整するのがポイントです。

こだわりの強いタイプの人は、ポモドーロ・テクニックやコンパニオンは相性が悪く、タスクを細かく分けてマイルストーン単位で集中するのが良い、ということなのかなと思います。

理由3: 人がいるだけでは励みにならない

goghには自室だけではなく、他のユーザーと同じ空間で作業できるコワーキングスペースがあります。誰がいるかがわかるだけで、空間内での能動的なコミュニケーションはありません。プレッシャーを感じることなく、「ただ誰かと作業している感覚」を感じることができます。

世の中にはリモートワークに向かない人がいます。周りに自分と同じように働いている人がいないと、つい気持ちが折れてしまうらしいです。そういった人には、goghはとても快適なツールです。

私はコワーキングスペースに足繁く通っていた時期がありました。なのでこの空間の方が楽しいかもしれない…と思ったのですが、これといった励みにはなりませんでした。これは私がコワーキングスペースに通っていた理由を考えると明白でした。私は「誰かが近くで働いている感覚」を得たいから通っていたのではなく、雑談やチラシから情報を得たり、新しい気付きを得たいから通っていたのでした。

goghがプレイスタイルとして勧めているように、同僚や友だち同士で同じルームに入り、仲間同士で利用したら楽しいかもしれません。ですがそれを能動的にやろうとしたら手段が目的になってしまいます。私は心理的安全性が低く、「自分は誰かに嫌がられている」と常に感じているので、そのような行動を取ったら疲れます。

まとめ: ツールの相性と「Habitica」への回帰

自分の中で言語化できた、合わない理由は以上です。他にもスマートフォン版の部屋の狭さと操作性の悪さも感じましたが、「会社支給の端末にSteamをインストールできない」という個人的な状況によるものです。

ここまで読んだ人がいるかわかりませんが、「お前は何を言っているんだ」と感じたり「あー、私は一人で部屋にいたらマンガ読んじゃうね」という人は、goghは向いています。アプリとしては斬新なものなので、まず試してみてください。

2017年から3年ほど、「Habitica」というタスク管理ツールを使っていました。結婚を機に生活が代わってやめていましたが、自分の努力を意識的に可視化したい、作業環境は変えたくない私にはかなり相性が良いツールでした。もう一度レベル1からやってみようと思います。

RPG風タスク管理ツール「Habitica」で人生をレベルアップ | ブログ | ウェビングスタジオ

生活改善ツールというのはゲームやマンガ、調理器具などと同様に、どれほど多くの人が良いと言っていても、向き不向きがあるのでしょう。合わなかった場合にこれは無理、で終わらせるのではなく自己分析をしつつなぜ合わなかったことを考えるのが、一番の生活の改善になるのかもしれません。