ろくろ回しそうで回してない

「様々なブランドのCMSのパワーユーザーに、いろいろ聞いてみよう!」というアップルップルさんの連載企画に「Movable Type・WordPress・a-blog cms を選ぶ基準は?」というテーマで出演させていただきました。
3つのCMSを並行して扱っている私が、各CMSの選定の決め手になる特筆すべき点などをお話してます。

今回で二回目で、一回目は言問の藤田さんでした。主にa-blog cms・Drupalの、制作面の魅力について話されています。併せてどうぞ。

アップルップル森田さんに長話をする私

地域格差

この話は物議をかもすだろうなーと思っています。各CMSのエヴァンジェリストほど「良いものなら地域格差は関係ない!」と主張します。
ですが、ソーシャルメディア・クラウドが普及した今でも、ある程度のCMSシェアの地域格差はあります。

その地域で影響が大きい会社や、フリーランスの元請となっている会社のCMSの選定次第で、かなりシェアが変わることになります。
札幌の場合、MovableTypeの一連のソリューションで全国的に知られるスカイアーク、有力なMovableTypeプラグインをリリースしているジャクスタポジションの影響が大きいかなと思います。
ただし、最近はフリーランスがひじょうに多くなり、WordPressのコミュニティも元気です。

CMSの選定

インタビューでお話ししたのは主に個人からの依頼の場合で、制作会社さんからの依頼の場合は、私から使用するCMSを提案することはほとんどありません。「更新担当が使える」ことが最優先であり、私に話が来る段階でCMSが決まっているからです。

「そのCMSでは確実にできない」もしくは「他のCMSよりも大きな工数がかかる」ことが確実なケースのみ、変更をお勧めしますが(けっこうよくあったりします)、そうでなければ、他のCMSを強く薦めることはしていません。

なお「このCMSでなければできない!」というケースは、MovableTypeが最も多いです。静的書き出しと詳細なアーカイブマッピングは、サーバー要件が困難な案件ではやっぱり強いです。

学習コストと精神的ハードル

後半で触れている「現シックスアパートの平田さんの本」というのは「Movable Typeで今すぐできるウェブログ入門」です。サーバーインストール型のブログがまだマニアックだった当時、私がCMSと関わるきっかけになったものです。
この本自体は、退職した会社の先輩に貸したっきりになってしまったのですが;;

MT→WPは似通っているところが多く、乗り換えが楽でしたが、a-blog cmsは時間がかかりました。ユニット設計のa-blog cmsは、ブログに慣れているほど学習コストが高くなります。
ですが「学習コストの高さ」よりも「使ってみたい」「これは採用する根拠がある」という「精神的ハードルの低さ」が上回ったかっこうです。

制作のしやすさ

インタビューで話した、a-blog cmsの「制作のしやすさ」というのは「制作が簡単」という意味ではありません。
説明が難しいのですが…

a-blog cmsは、テーマのファイル構成・カテゴリー構造がそのまま構築に反映されます。このため、MovableType・WordPressのように「テンプレート一枚作ったらとりあえず見られる」というユルさでは進められません。
逆に、きっちりサイトマップができていれば、静的ファイルをそのままテーマ化するだけです。

つまり、設計がきちんとしているほど、どんどん楽になっていくCMSなのです。Web制作者の技量がモロに出るCMSともいえます。
逆に、見た目を気にしない検証サイトが必要なときは、ざっくりいけちゃうWordPressが助かります。


そんなこんなで、私のCMSに対する立ち位置を再確認する、良い機会をいただきました。アップルップル森田さん、ありがとうございます。
このインタビュー企画、いろいろなCMSのパワーユーザーが名乗りを上げているらしいです。三回目以降もお楽しみに。

この記事を書いた人

うぇびん

愛知県豊橋市に住んでいる、荒ぶるウェブおばさん。WordPressをはじめとした各種CMSを研究するのが好き。札幌のIT企業のビットスター株式会社に所属しています。