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古参Web制作者、「モンスターハンターワイルズ」に励まされる

4月から勤務時間を減らしてもらい、パートのおばさんになりました。疲れが溜まると右腕が炎症を起こして寝込むようになったので、苦渋の判断です。業務が終わると少し横になり、できるだけ体を休めます。

業務内容はこれまで通りです。会社で求められている、若手の指導や複雑なCMS案件の担当を続けるため、休まず無理せず働かなくてはなりません。今年のはじめに「何か作る、Macをやめる、健康を維持する」と、3つの目標を立てましたが現時点でどれも頓挫しています。かなり落ち込みます。なんでWindowsあんなに文字が見づらいの…?

そんな中、楽しみにしていた「モンスターハンターワイルズ」をプレイしています。腕が腫れるので一日5狩りにとどめつつ、HR100は達成できています。世間的には賛否両論で、直前までプレイしていたアイスボーンとの格差は否定しませんが、私自身はこのゲームの世界観が「古参Web制作者」である今の立ち位置に通じるところがありました。励まされ、思い入れがある作品になりました。

見ていてね、先輩Web制作者が何をやるのかを

前置きしますが、私は「見ていなくてもいいのよ?」と考えています。その前提での話です。

現在の勤務先に入社する際、会社からは「知識の共有」と「経験の長い制作者として若手に背中を見せること」を求められました。

モンハンワイルズの主人公である「ハンター」はかなりの経験者という前提で、同行する少年にしばしば、危険な任務に対して「ハンターが何をやるのか」という、名もなき狩人の矜持=背中を見せることになります。

結局は、討伐=技量押しの対応で解決しているので問題がありますが(笑)少なくとも、少年は自分もハンターさんのようになりたい!と感じ、後輩として自分ならどうするか、何ができるか…と考えるようになります。それは技術や文化の継承に必要な要素です。

入社して2年が経ちました。伝わっているだろうか、かえって邪魔ではないだろうかと不安になることもありますが、少しずつ成果は出ているのでハンターさんのように自分なりの仕事を続けて行きたいと思います。

もう止まらんよ。流れ始めたエネルギーと同じだ

ネタバレになるので詳細は控えますが、ハンターたちは、新たに生まれた「禁忌」との危うい共存関係を選びます。それは、AIが一般に広まり始めた今のインターネットと符合します。技術者であるほど、それは恐ろしく魅力的であり、かつ、一度広まり始めたら止められないものだと理解できます。勤め先でも、AIやノーコードツールの利用が進んでいます。私もそれらに触れることが多くなりました。

私は職域の関係で、まだ業務にはなっていない新しい技術の調査を依頼されることがあります。だいたい雑談のついでなので、モンハンワイルズの「サブクエスト」のようなシチュエーションです。Figmaで作成したカンプをSTUDIOに簡単に持ち込める「Figma to STUDIO」の調査が最近のクエストです。サイトを作らなくてはならないので、「本物っぽく、しかし明らかにジョークとわかるランディングページ」の原稿をChatGPTに書かせました。

ChatGPTは数秒で驚くような良案を出してくれましたし、Figma to STUDIOは完璧ではないものの予想以上に使いやすいです。軽い案件の工数削減や、デザイナーの更新業務への参加の青写真が書けそうです。

長く使われてきた技術を扱いながら、新しい技術に関わることは戸惑いや不安もあります。正直、近いうちにとんでもない事故が業界のどこかで起きそうな予感がします。事故を防ぐルールの制定と、起きたときの対処を、インターネットの過渡期を知る私たち古参が考えていなくてはならないと思います。

私の中では、「新しい技術は提案された設定のまま使わない」が昔からの方針です。CMSの公式テーマや、Webサービス全般に対して必ずレビューや微調整をしています。なのでChatGPTの文章もそのままではなく、推敲と手直ししてから使いました。

変わっていく世界と遺構

昨日は10年近くぶりに、刈谷市にある「依佐美送信所跡」の鉄塔を見てきました。

今や愛知県民と軍事や建築に詳しい人しか知らない場所ですが、刈谷市には30年ほど前まで、8本の電波塔が立っていました。高さは250mもあり、はるか遠くから見えたそうです。海外への通信のために作られ、軍事に使われ、終戦で米軍の管理下となり、冷戦の集結で不要となり取り壊されました。

鉄塔は役目を終えて、今は25mの縮小版だけが依佐美地区に残っています。鉄塔はもう何もできません。ですがこうして、まったくそのことを知らなかった私に、世界が変わっていったことを伝えてくれます。いつかWebサイトも遺構になるのでしょうか…というかちゃんと形に残るんでしょうか?

鉄塔はなにも変わってないのに、私は年老いていきます。若手に「Web制作者が何をやるのか」を伝えながら、AIという「禁忌」と共存することになったWeb制作の現場がどう変わっていくかを、まだまだ見届けたいなあと思います。