a-blog cms用テーマ「echo_zero」を正式にリリースいたしました。
非商用・検証目的であれば自由にご利用いただけます。商用の際はライセンスをご購入いただけると嬉しいです。
echoのポータルサイトもリニューアルして、ようやく他のechoシリーズにも着手できそうです。
さて、a-blog cms版のechoを作る!と言ってからリリースまで一年もかかりました。なぜそんなにかかったのかという話を、主要CMSの日本製テーマの事情なども交えて振り返りたいと思います。
目立つテーマと使えるテーマ
Movable Type版のechoをリリースする少し前、baserCMSのテーマコンテストで「ratio_3_2」がグランプリをいただきました。
このテーマは一年経った今も愛用してくださっている方がいたりで、とてもありがたいです。
ですが、私自身は内心、準グランプリ・公式テーマ賞の「bccolumn」の方がratioよりも良いテーマだと思っていました。「使える」テーマだからです。
「目立つ」と「使える」は違います。テーマは使う側が使うシーンを想像できるものでなければならないです。
その後、Movable Typeのechoをリリースしましたが、全然使ってもらえませんでしたし、全然売れませんでした。
このままa-blog cms版を作ろうと考えていましたが、根本から見直すことにして、いろいろなCMSテーマのファーストビューを見て回ることにしました。
日本のCMSテーマのファーストビュー
まず「WordPressの人気CMSテーマまとめ」などを見ましたが、まるで参考になりませんでした。英語圏で作られたテーマは日本のウェブサイトのニーズに全く合っていません。国内のパワーユーザーが作っているテーマをいろいろ見ることにしました。
私が国内CMSのファーストビューで「使えるテーマ」と感じたのは、WordPressの「Habakiri」、「Lightning」、concrete5の「Stucco」です。
特にHabakiriのメニューバーを透過しているタイプは「これだ…!」と思いました。
Lightningはa-blog cms公式の「Site」と同じファーストビューなので、Habakiriの方向性でデザインを考え直すことにしました。
テーマを見て回っている段階ではリリースされていませんでしたが、Movable Typeの「荒川印刷のテーマ」などもMTらしくて好きです。
開発向けのテーマ
一方で、CMSテーマには「デザインを極限まで排除した、開発に特化したテーマ」というものがあります。a-blog cmsの「ましじめテンプレート」、WordPressの「Mimizuku」、
Movable Typeの「mt-theme-starterket」、海外ですがDrupalの「Bootstrap」などです。
特にましじめテンプレートの「スタイルガイドもテーマ内に静的HTMLとしてビルドしてしまう」という発想はa-blog cmsしかできないことで、echoでもいずれやりたいですが、正直どれも「テーマを使わなければならない状況のプロ制作者」のスキルを考えると、難解すぎました。なので結論として、私はSCSSを作り込み過ぎない方向にしました。
事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ
そんなこんなで、昨年の春頃からふたたび開発を始めましたが、夏には破棄しました。
春に札幌へ戻ってから、a-blog cmsの案件がずいぶん増えました。実際の案件でディレクター、デザイナー、コーダーと相談しながら進めていくうち、a-blog cmsのテーマに対し、制作現場で求められている要素というのがいろいろとわかってきました。
もっとも必要とされていて、かつ喜ばれたのは、レイアウト機能でも高度な編集設定でもなく、投稿画面のカスタマイズでした。また、a-blog cmsはインクルードがとても多くなる傾向があるので、ベーステーマもしっかりルール付けしておかないと、コンテンツが増えるにつれ、どれを編集したらいいかわからなくなることもわかってきました。
ふたたびリポジトリを立ち上げたのが9月頃です。その後も構成やモジュールID名の見直しを繰り返し、何度も心が折れそうになりましたが、ようやく先月末に1.0をコミットして、今日この記事を書いています。
既にフルオーダーのテーマ制作のベースとしても頑張ってくれていますし、今後もいろいろ頑張ってくれるでしょう。バージョン3.0の噂も聞かれますが、それも想定したつもりです。
繰り返しますが、echoは非商用なら無償でご利用いただけます。まずは触ってみてください。あなたのお仕事でインスパイアできそうなものがあれば、どんどんご利用ください。
とにかくテーマ制作者には「使ってもらえること」がなによりのモチベーションになりますので、よろしくお願いします。
記事中で紹介させていただいたテーマの作者の皆様、勉強になりました。ありがとうございますm(__)mまたイベントなどで、こってりしたテーマ談義ができると嬉しいです。