ウェビングスタジオの、有料CMSテーマの販売ページには「売上の10%を、子どもの貧困問題の支援団体に寄付する」と書いています。
結局3つしか売れませんでしたが、自費を足して、10,000円をフローレンスに寄付しました。
それ以外にも、少額ですが毎月寄付をしています。
なぜ寄付をしているのか、なぜわざわざそのことを記事にするのかの話です。
5分ほどあれば、お付き合いいただけると幸いです。
貧困の連鎖の話
まだ存命なので書きませんが、私の母は世間の標準と比べると、かなり貧乏でした。
食べるに困るほどではなかったようですが、友だちと同じものが買えない、やりたいことがあったのに進学できない、就職後も実家に送金を続けるなどの、いわゆる相対的貧困家庭です。
ですが、中学生になったときに母から身の上話を聞くまで、私は家が貧乏だと思ったことは一度もありませんでした(そういえば祖父母の家は、今にも潰れそうな長屋でしたが…)。
「自分がとても幸運だった」と気付いたのは、「貧困の連鎖」という言葉を知ってからです。
安定した職場に勤め、父も母も努力して働いて、世の中の景気も良かった。それだけの条件がそろったから、うちの貧乏は母の代で終わったのです。
札幌ではちょうどその頃、生活保護を拒否された母子家庭の母親が餓死する事件が起きていました。
子どもの頃の相対的貧困は、生涯その人に影を落とします。
貧困の連鎖を止めるには、必要以上の努力と運に恵まれるか、または自尊心を傷つけながら慈悲にすがるしかないのか。
苦労知らずで大学にも自分から行かなかった身ではありますが、そのことはずっと気になっていました。
フローレンスへの「投資」
フローレンスという団体のことを知ったのは、ここ二年くらいのことです。
病児保育のドラマのことは観てませんが、片親(もちろん男性も)家庭の困窮について、熱心なメディア連携やロビー活動を行っていることを知りました。
フローレンスという団体は、ただ情に訴えるか、政治的な目的で動く旧来の団体とは少し違います。泥臭いマーケティングも絡めながら、問題の原因となる社会構造ごと変えようとする戦略集団です。
特に今年の、子ども宅食の寄付を「ふるさと納税」で集めようというプロジェクトは圧巻でした。
https://www.furusato-tax.jp/gcf/155
このプロジェクトは一度に4つの問題への解決策を提示しています。
子ども食堂が抱える「本当に困っている人ほど来なくてわからない」問題
「ふるさと納税」を利用して特産品をもらうことに興味がない層の拾い上げ
物をもらうために寄付をする「ふるさと納税」に疑問を持つ層の拾い上げ
ふるさと納税の恩恵を得られない首都圏の自治体の救済
これは、私が定額寄付を申込んだときに返送されてきたパンフレットです。これは年一回送られてくる活動報告書ですが、収支グラフや一年間に行った事業、利用者の感想などびっしり書いてあります。
また、寄付の申込みなどでメールを送ると、スタッフは送り主が会員か非会員か、どのグループに入っているかも把握した文章で返信してきます。マーケティングオートメーションを活用していると思われますが、支援者を「お金を恵んでくれる人」ではなく、対等な顧客として扱っているのは確かです。
フローレンスとは別の、同様の寄付を募っている団体にもお金を送っていたのですが、毎月の入金確認メールだけで、アクションも報告もまったくありません。
寄付とは投資です。投資は、効果があると思ったところにするものです。
来年はフローレンスに絞るつもりです。
我々は捨て石である。だが、希望は捨てていない
二年ほど前、NHKの小野文惠アナウンサーが「出産しなかった私たちはいい捨て石になろう」と発言して問題になりました。
非難した人は、被害妄想が強いか、無学すぎます。「捨て石」とは囲碁の勝つための定石であり、防波堤の水止めのために積む石であり、将来のために使われる石です。
私は42歳の今まで結婚をしていません。この先、なにか縁があったとしても、もう子どもには恵まれないでしょう。
姉と妹にも子どもがいないため、今から老後を一人で生きていくことを考えねばなりません。
フローレンスのサービスを利用した父親・母親たちは、感想文を読んだ限りでは、支援を受けたことを感謝して、高い意識を持っています。子どもたちも、きっと立派に育つことでしょう。
その子たちが社会に出る頃には、一生報われることがないと言われる、私たち「ロストジェネレーション」も定年を迎えます。貧困の連鎖を本当に断ち切る方法を見つけるだけでなく、私たちにも希望を与えてくれるかもしれません。
都合の良い妄想だし、そもそも私が60まで生きるかはわからないのですが、いい捨て石になろうとは思っています。
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もう一度書きます。寄付とは投資です。単なる善意は何も生みません。
私の寄付はお小遣い程度ですが、寄付しよう、来年はもっと大きめの額を、と考えることは、私にもみんなにもいいことです。たぶん。
25日中に書き終わるつもりが、40分すぎてしまいました。
メリークリスマス。