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さよならCompass、そして技術へのこだわり

今年の春から、CSSコーディングにCompassを使うのをやめた。

きっかけはSublime Text3が重くなり、作業に差し支えるようになったことだった。エディタをBracketsに乗り換えたことでやや改善したが、肝心のビルドはちっとも早くならなかった。CSSの書き出しが終わるのに30秒は待たされる。

Gulpはそれほど使い込んでいない。となると原因はCompassだ。札幌への引っ越しで業務に区切りができたのを機に、ずっと使ってきたスニペットから、Compass依存のmixinをすべて取り除いた。それはとても面倒な作業で、エラーが出なくなるまで何度か後悔した。

今、私のscssファイルのmixinは、bootstrapから拝借したいくつかの定型処理だけになっている。ビルドは劇的に早くなった。そして、私の業務ではCompassは意味がなくなっていたことに気付いた。

Compassでなければならないことをしていない

Compassが最も役に立つのは、スプライトの作成とCSSアニメーションだと思う。

しかし、最近は画像が多用されたサイトのコーディングをすることがほとんどなくなっていた。アイコンはWebフォントで構わないと言われることも多くなったし、そもそもスプライトでまとめなければならないほどPVが多いサイトを作っていなかったのだ。

CSSアニメーションについても、自作するようなことがまずなかった。いちから苦労してアニメーションを作るよりも、オンラインでよい演出のサイトを探して、そのCSSを調整した方がずっと良いものができた。そういえば、私はFlashアニメーションも苦手だったではないか。

Compassは他にも角丸や影などがあるが、いつのまにかベンダープレフィクスが不要になっていて、よほど対応ブラウザがシビアでない限り、一行で書けるようになっていた。

納品先がメタ言語やタスクランナーを使えない

私の仕事は、CMS構築もコーディングも、大半が完全納品である。納品後は発注先の制作会社が追加修正を行い、私が手を入れることはとても少ない。あったとしても一年以上先のことだ。

そして、納品先はだいたい、GulpやCompassどころか、Sassも使えない会社が多い。コーディングのような作業は社内の若手が担当しているので当然のことなのだ。専門のコーダーを雇えるような層の厚い会社なら、私に依頼しなくても内製できるだろう。

そう、メタ言語やタスクランナーを必要としていたのは、私の場合は、私だけなのだ。

CSSの方が楽だ

CSSコーディングに、SafariやChromeの「開発モード」を使うことがよくある。CSSを書き足していくとすぐに結果が出るので、あまり何度もサーバーへの転送ができないときや、見ないで書くのが難しいところに便利だ。

しかし、ここで書いたコードはビルド後のCSSなので、SassとCompass向けに書き換えなければならない。

カラーコードの変数化は便利だが、要素を入れ子に書き換えるのが死ぬほど面倒くさい。

ふと、自分が技術というものにこだわってものすごく無意味なことをしているのではないかと思ってしまう。

正直、Sassの入れ子記法すら面倒くさい。色とフォントの変数化と、インクルードと、簡単なmixinだけでSassは充分役に立っているではないか。

もう、技術へのこだわりを捨てようと思う。そういうことは、とてもタイトな案件で、専業のマークアップエンジニアがするものだ。加速が凄いからといって、みんながF1カーに乗る必要はないのだ。

私の専門はCMSで、ほんとうに必要とされていることに力を注ぎたい。

#coding